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澄川麦酒のビールに使われている緑茶、これ、なんのため?!

齋藤です。

今週の工場は月曜日・木曜日・金曜日の3日稼働という変則スタイルです。というわけで、今日は工場お休み日ですが、ブログは更新してみたいと思います。

今日は良くご質問を受ける「原材料の緑茶」についてのお話を。

樽生ビールを直営店でご提供するのみだった時には、細かな原材料については、リリース時にちらりとネット越しにご紹介する程度でしたので、あまり皆さまの目に留まることもなくそれほど注目されることも無かったのですが、瓶ビールを発売してからは、ラベルをじっくり見ていただくこともあるようで、ご質問をいただくことが増えてきました。

画像は、とある澄川麦酒のラベルの一部分。


原材料に緑茶が含まれていますね。

そして、ポイントなのが、左上に小さく表示されている部分です。

拡大します。

大切なことが2つ書かれています。

一つは、澄川麦酒は麦芽とホップのみのビール醸造が免許されていないこと。

もう一つは、そのためごく微量の緑茶を使用していることです。

そして、ここに書かれていない、もう一つの(造り手側の)割と重要なこともあります。




それぞれ解説します。

澄川麦酒は2017年度に発泡酒醸造免許を取得しました。そして、2018年度に酒税法が改正され、取得した免許が、発泡酒醸造免許とビール醸造免許(条件つき)に置き換わりました。

昭和の時代に普通自動車運転免許を取得した人が、平成になって道路交通法の改正により、その免許が自動的に中型自動車運転免許(条件付き)に変わったと思いますが、これと同じことが我々の醸造免許にもおこりました。

発泡酒製造免許をとったのに、法律が変わってビール製造免許が条件つきで増えたというわけ。

もし興味のある方は、詳しいことは、税務署が公開している文書をご覧になってください。

簡単に言うと、元々ビールの原材料は麦芽とホップだが一部混ぜても良い材料があるという決まりの中で、混ぜても良い材料が増えた、ということです(細かくは混ぜて良い比率のこととか、全体の麦芽比率とか色々変わっていますが、大きいのはこの変更です)。


ちょっと分かりづらいですか?

逆のアプローチから説明すると、我々の造るものが、元々は発泡酒の区分になっていたのが、酒税法が変わってビールの区分になった、となります。

つまり、我々のやってることは何も変わらないのですが、法律が変わったので、呼び方が変わったってわけ。

一つめの大切なことはこの「ビールという品目のお酒の醸造は免許されているが、混ぜて良いと認められた副材料を入れたものしか造ることはできない」ということです。



次に、先に、ラベルには書かれていない造り手側の割と重要なことを書きますね。

酒税法では税率が細かく決められています。なんとなくの歴史的な税率のイメージで税率の一番高いのはビールという認識の方が多いのかなと思いますが、実は、今はビールと麦芽使用比率50%以上の発泡酒は同じ税率(1リットルあたり200円)です。

というわけで多くの方には発泡酒は酒税対策した安い酒というイメージがあると思いますが、(世の中に発泡酒が出た当初はそうだったのですが)酒税法が改正されて、実は、もう今は大きなイメージ間違い(このことは、また別の日に詳しく解説してみたいと思います)なのです。


そして、この1リットルあたり200円の酒税ですが、租税特別措置法という舌を噛みそうな名前の法律により、品目により税率が軽減されています。

ここに(一定の条件を満たした製造所の造る)ビールが含まれていて、我々は、この軽減を受ける醸造所なのです。

つまり、我々は、麦芽使用比率50%以上の発泡酒よりも条件付きビールを造るほうが収める酒税が安いということになります。

税率が違うからといって同じクラフトビールというカテゴリーのものを造っている以上、販売価格は(税金に合わせて)細かく変動させることはできないと思っていますから、麦芽の使用比率が50%以上のカテゴリーであれば、発泡酒を造るよりもビールを造るほうが税金的に楽になるわけです。



なので、我々的にはビールを造りたいし、ドイツ式を比較的フューチャーしている澄川麦酒としては、ビール純粋令に則ったビールも本当は造りたいのです。

ここで思いついた(せこい)技がビール本体に影響しない程度の材料しか混ぜなければよいのでは?ということ(ちなみにこのせこい技は国税庁鑑定官室に合法であることを確認済です)。

緑茶は混ぜて良い材料に含まれています。そして、我々が考察した中で、アレルギー反応を示す方がかなり少ない材料ではないかな、と。。

混ざっていれば合法なので、今、いわゆる麦芽100%的なビールを造りたい場合は、緑茶を1バッチあたり茶葉1枚入れています。

出来上がるビールの味にも香りにも全く影響ないたった1枚の茶葉でも原材料に加えないと違法になりますし、入れたものを原材料表示しないとこれも違法になります。

というわけで、味にも香りにも全く影響しない茶葉1枚(割と大事なことなので2回書きました:笑)ではありますが、入れた上でキチンと原材料表示をし、注釈を記載している、というわけなのでした。



もう全部ビールでいいじゃん!と常々思っていますが、相変わらず酒税法では細々決まりがあります。ほんと、変な法律です。。。