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オリジナルビールへの道~6~ビールの香りの設計:酵母のこと

齋藤です。

先週35℃あった気温が昨日は15℃。流石にカラダがついていかないですね。というか、朝間違って短パンで出勤してあまりの恥ずかしさに配達前にデニムに履き替えました。とはいえこのまま秋になることもないでしょうかね。涼しくなったらなったで、もうちょっと夏があっても良いかなあなんて思うのはなぜでしょう?!(笑

久しぶりのシリーズです

ちょっとあれこれお知らせするトピックが続きまして、久しぶりにオリジナルビールの話です。

前回はホップの苦味と香りの抽出について触れました。

ホップの香りは一番わかりやすいですよね。ここ数年の流行りのアメリカンIPAなどは、本当にホップがバッチリ効いています。

もう一つの香りは酵母です。

初回にお酒ができるのは酵母のおかげだよ、と書きました。酵母は、餌になる糖分を食べてアルコールと炭酸ガスを出すのは初回の通りなのですが、この際、同時にエステル香と呼ばれる香りも出します。この香りがビールのキャラクターを決めるもう一つの重要なポイントになります。

一番わかりやすいのはヴァイツェンかなと思います。ヴァイツェン特有のバナナのような香りはホップ由来でなく酵母由来です。セゾンの独特なスパイシーな柑橘香も酵母由来。

そんな酵母の出す香り、面白いのは、発酵させる温度で出す香りも微妙に違って来たりします。

ウチで使っているヴァイツェン酵母は、23℃あたりで発酵させるとバナナの香りなんですが、18℃あたりで発酵させるとクローブの香りを出します。

セゾン酵母は、30℃で発酵させると柑橘の香りを出しますが、20℃あたりだとスパイスの香り。

ベルジャン酵母も20℃あたりだとスパイスの香りなのですが、24℃あたりだとりんごになったりします。

メーカーからの情報ももちろんありますが、このあたりは発酵タンクの温度管理の仕組みもあって、多分「窯グセ」がでるところでしょう。新しい酵母を手に入れたら、まずはメーカーのデータに従ってやってみつつ、ひたすらデータ取りって感じになります。

ホップの組み合わせで香りの仕上がりを想像しながら設計するとともに、選ぶ酵母でもビールの香りの構成が変わります。これもオリジナルビールを造る際に検討するべき項目ですね。

もちろん、酵母の香りがいらない、というビールもありますね。ピルスナーなどのラガービールは、モルトとシンプルなホップの香りで構成されているものも多いです(イマドキは、このラガービールにまでドライホップするのも流行りみたいですけれど)。

そんなわけで、ビールの設計には、酵母のチョイスも大事ですね、というお話でした。

次回は、ビールの香りを考える際に検討する最後の項目、モルトの香りについて触れてみたいと思います。