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オリジナルビールへの道~3~ビールの味わいの設計:糖のバランス

齋藤です。

お友達のお店などの営業情報を収集してみましたが、制限の中でやるところ半分、ウチのように引き続き休業が半分という感じでしょうか。。ウチも検討した(けどビールのコンディション維持が難しく断念した)週末だけ営業ってところもあるようです。ともかく、19時で提供終了ではまさに竹槍もって最前線に行ってこいって言われてるようなもんですよね。。



さて、オリジナルビールへの道シリーズです。

今日は、先週の糖の話に関連して、その糖のバランスをどう設計するのか?ということについて簡単に説明してみます。



そもそもビールを造るための糖ってどうやって造るの?って話から。

それは、麦芽に含まれるデンプンをアミラーゼという酵素を使って分解して糖に替えるという作業により行います。

炊きたて(でなくても良いですが)ごはんを口の中にいれて少し長めにもぐもぐしていると口の中に甘味を感じませんか?

これは、ごはんの持つデンプンが唾液に含まれるアミラーゼで分解されて糖に替わったものを舌が甘く感じているからなんですね。

これと同じことを人工的に行います。ちなみにこの作業の事を糖化作業と呼んでます。



麦芽を挽いてお湯に入れてうるかします(これがいわゆる麦汁(もろみ)ですね)と、麦芽の籾殻に含まれているアミラーゼが活動を開始します。ちなみに、籾殻にアミラーゼが含まれるのは麦芽だけで、麦芽になってない玄麦には含まれません。

この話は雑学的に面白い話題もあるので、またいつか書いてみたいと思います。

ところで、このアミラーゼ、麦汁の中に2種類存在しています。

それぞれ、αアミラーゼβアミラーゼと呼ばれているのですが、人間にもいろいろな性格の持ち主がいるように、このアミラーゼも性格が違います。



βアミラーゼは真面目な性格で、デンプンの連鎖を端から丁寧に切断していき、小さい糖であるマルトース(麦芽糖)を生成します。一方、αアミラーゼは、私のように大雑把な性格で、デンプンの連鎖を適当に切断します。その結果、大きい糖の連鎖であるデキストリン(オリゴ糖)を生成します。



そして、この性格の違う二人、活発に活動する温度が違います。βアミラーゼは63℃あたりで、αアミラーゼは73℃あたりで最も活発に活動し、76℃を越えると失活します。



こうして生成された糖は、前回もちらりと触れましたが、βアミラーゼによってつくられた小さい糖は酵母が食べますが、αアミラーゼによってつくられた大きい糖は残します。



カンの良い方はもうお気づきだと思いますが、つまり、麦汁の温度を何度で糖化するか、でビールのボディが決まると言うわけです。


63℃あたりで糖化すれば、スーパードライのようにスッキリキレたビールが、73℃あたりで糖化すれば、プレミアムモルツのように甘味をもったビールがそれぞれ出来上がると言うわけです。

もちろん、いいとこ取りってわけでも無いですが、中間あたりの、例えば68℃で糖化するとバランスがまた変わったビールのキャラクタが出来上がります。



私達は、ビールを設計する時にこの「何度で糖化するか」を検討することにより、ビールのボディを決めている、ということなのです。



次回はビールの味わいを決めるもう一つの要素、苦味について少し書いてみたいと思います。