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ビール醸造にまつわる雑学~1~デンプンとアミラーゼの話

齋藤です。

昨日、デンプンとアミラーゼの話の中で、ちょっとおもしろい話があるよって書いたそのちょっとおもしろい話を今日は。



画像はインターネットから貰ってきたフリーの石焼き芋の画像です。

今の夏の時期に石焼き芋の話もあれなんですが、こんな経験ありませんか?



さつまいもを買ってきて、おやつに石焼き芋的なのを作ろうと電子レンジでチンてみた。
ワクワクして食べたら、全然甘く無い



さて、これには昨日の話にまつわるデンプンとアミラーゼが関係しているのです。

実は、さつまいもにはβアミラーゼが含まれています。そう、つまり、こいつをうまく活動させてやると甘くなる、ってのは昨日のお話からなんとなく想像がつくと思います。

そんでもって、このβアミラーゼは、(専門的な言葉では)糊化されたデンプンを糖化することしかできません。麦芽をうるかすのはそのため。なので生のさつまいもをいきなり73℃にしても何も起こりません。

デンプンを糊化させる温度はだいたい65℃から75℃くらい(麦汁を糖化する温度もここですね)。βアミラーゼが活動する温度が73℃くらい。そして失活する温度が76℃以上。



この点から見ると、石焼き芋は非常に優れた調理方法だと言うことがわかります。

直火で焼くのではなく、温めた石でじっくりと火を通していく。。。

常温で投入されたさつまいもは徐々に温度があがり、65℃を超えるとデンプンの糊化が進み、中が十分にとろとろに糊化された後に73℃で満を持してβアミラーゼが動き回る。結果、甘~~い石焼き芋が完成するというわけ。


一方、電子レンジでチンでは、この糊化の温度帯をあっという間に通過してしまいますし、さらには、βアミラーゼの失活温度、76℃にもすぐに到達してしまいます。

だから電子レンジでチンではさつまいもは甘くならないのでした。



この知識を得たのは、ビールの副材料の使い方を調べていたときでした。糖化鍋にただ材料をぶっこむだけではうまく行かないことがあって、なんでだろう?と調べていて、最終的には、なぜか、石焼き芋が甘くなる理屈にたどり着いたという、、、(笑


そんな我々も、麦芽を糖化する時にこの「糖化効率」というのをとても気にします。使った材料からいかに効率よく糖を回収できるかですね。

焼き芋と麦汁糖化にも、関連した話題があるのを思い出したので書いてみました。

麦芽と玄麦の違いについては、またいつか。